アオハルの続きは、大人のキスから
何度も頷いてテンション高めに褒めていると、椿は有無を言わさぬ笑顔を向けてくる。
「見てきたのなら、まぁ許してあげる」
「え?」
「あの白無垢が今回の仕事内容なの」
「どういうこと? 椿ちゃん」
久遠は、小鈴に白無垢を着て結婚式をしろと言っていた。とはいえ、それは小鈴を困らせるのが目的だったはず。
しかし、どうやら本当に仕事に関係するアイテムが白無垢だったようだ。椿はテーブルに肘をつき、顎を乗せて説明をしてくれた。
「ベリーコンチネンタルホテルは、主に宿泊がメイン。豪奢な部屋、最高のおもてなしをコンセプトに今までやってきたみたい。宿泊メインでやっていたから、レストランやスパなんかの施設は充実している。パーティーなども手がけていたみたいだけど、結婚披露宴はやってこなかったようね」
「そうなんだ……」
それなのに、どうして白無垢が久遠の部屋に置いてあったのだろうか。先ほど見た光景を思い出していると、椿が「それでね」と話を切り出してくる。
「来春から、一日一組限定で挙式プランを組む計画が上がっているらしいのよ。それも、和風オンリー」
「和風オンリー?」
「そうよ。ほら、山野井が入っているショッピングモール屋上に和風庭園があるでしょ? あそこでガーデン挙式、もしくはホテル内に新しく創設される神前スタイルの挙式を計画しているみたい」
「どうして和風オンリーなの?」
「あのホテルって海外からのお客様が多いらしくて、和風の挙式をしたいっていう要望が前から結構出ていたらしいの」
「それで、和風オンリー」
「うん、そう。でも、ゆくゆくはチャペル式や人前式なんかも行えるようにするらしいわ。新GMさまの発案らしいよ。まぁ、憎らしいほどに大出世しちゃったわねぇ、久遠は。でも、昔からいろんな意味でデキるヤツだったけど」
「うん……」
それには椿に同意する。久遠は昔から本当に凄い人だった。