アオハルの続きは、大人のキスから
すると、椿はスマホを弄って勝手に久遠へとメールを送ってしまったのだ。
慌ててスマホを取り上げ、椿を睨めつけた。
「椿ちゃん! 勝手になんてことをしているの?」
「だって、小鈴に任せていたら、久遠に会いに行くの躊躇いそうだし。それに、いいの?もしここで小鈴から次に会う連絡をしなかった場合。アイツ、乗り込んで来るわよ? 山野井に。それこそ小鈴が大変になると思うけど?」
確かに椿の言う通りかもしれない。久遠ならやりかねないだろう。
それなら、こちらから出向いて早々に問題解決をして平和に和解する方が断然いい。
それでも、心の準備が必要なのに、こうもスピーディーに動かれてしまったら心が追いつかない。
小鈴の手にあるスマホがフルフルと震える。恐る恐る開くと、そこには久遠からのメールが届いていた。
「デキる男は、仕事が早いわねぇ」
「椿ちゃん、他人事だと思って」
「なにを言っているのよ、小鈴は。かわいいかわいい従妹のためを思ってこそよ」
恨みがましい目で椿を睨む小鈴に、彼女はカラッと笑った。
「とにかく、よ。さっさと解決なさいな」
恨み節を口にする小鈴に対し、椿はツンと澄まして素知らぬふりだ。そんな彼女は、美味しそうにビールをグラスに注いで呑んでいる。
椿らしいと言えば、その通りだが、椿の流儀を押しつけられても困ってしまう。
小鈴はテーブルに突っ伏して、久遠からのメールを見てため息をつく。それでも考え直し、さっさと謝罪をして償いをしてしまおうと頭を切り替える。