アオハルの続きは、大人のキスから


 着物業界に身を置く小鈴には、この白無垢の良さが充分に伝わったはずだ。

 小鈴の着物姿はとても凜々しく美しかった。この白無垢を着たら、彼女はどんなに美しくなるのだろうか。

 先ほど小鈴に言った言葉、そしてメールで再度伝えたことは久遠の本心だ。この白無垢を小鈴に着てもらい、結婚してもらう。必ずだ。

「絶対に離さないぞ、小鈴。諦めて俺と再び恋をしてくれ」

 久遠は立ち上がり、ガラス窓に近づく。

 そこからは、ショッピングモール屋上にある日本庭園のライトアップを見ることができる。そして、同じ建物内には……小鈴が働く呉服屋山野井がある。

 窓に映る久遠の顔は、きっと満ち足りた表情をしているはずだ。

 そんな自分に苦笑しつつ、久遠は彼女の姿を思い描いたのだった。 



< 38 / 120 >

この作品をシェア

pagetop