アオハルの続きは、大人のキスから


「小鈴には、俺の気持ちを受け取ってもらう。それが、償いだ」

「え?」

 まさかの内容に、背けていた顔を戻して彼を見つめて目を丸くさせる。すると、久遠は力強く頷いた。

「嫌だと言っても、いらないと言われようとも……俺は小鈴に好きだっていう気持ちを伝え続けるし、甘やかしもする。もちろん、言葉だけでなく行動でもな」

「それを受けるのが……償いなんですか?」

 なんだか理解ができず、小鈴は眉を顰める。

 償いと言えば、なにかを強いられることだ。それも償いを行う者が、苦行を強いられるものと相場は決まってる。

 それなのに、どうして久遠は小鈴に対してご褒美みたいなことをするのか。どう考えても罪を償えと言った人が考えるものではない。

 小鈴が指摘すると、久遠は困ったように眉を下げる。その表情がアンニュイで、彼の魅力をより感じてドキッとしてしまう。

「償いだろう? 小鈴に無理矢理俺の気持ちをぶつけるんだ。嫌なことを強いられるんだ、立派な罰だ。でも、悪いが止めるつもりはない」

「あ、あの」

「悪いな、小鈴。これが十年前の償いだと思って受け止めてくれ」

 彼の大きな手のひらが小鈴の頬をゆっくりと撫でる。くすぐったくて肩を竦める小鈴に、久遠の顔が再び近くなる。

 キスをされる、そう思って身構えていた小鈴だったが、息がかかるほど近い距離で、彼の動きはピタリと止まる。

 昨夜と同様キスをされるのかとドキドキしていた小鈴の背に手を当てて起こしてくれ、隣に腰を下ろす。そして、ハァーと盛大なため息をひとつついた。

 なにがなんだかわからないでいる小鈴を横目に、久遠は背を丸めて頭を掻く。


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