アオハルの続きは、大人のキスから
「これ、どっちかというと俺の方がキツイな」
「え?」
「小鈴の気持ちを聞かずに、無理強いしたくなる」
「無理強い?」
「ああ、押し倒してキスして抱きしめて……二度とこの部屋から出したくなくなる」
「っ!!」
「……それでもいいか?」
色気ダダ漏れの目でお願いしないでほしい。こういうところが、彼の狡いところだ。そして、小鈴が気を許してしまうところでもある。それは、十年前も今も同じようだ。
「ダメ、です」
そっぽを向いて断りをいれると、久遠はクツクツと笑い声を上げた。
「やっぱりダメか。でも、まぁ……俺は諦めないから」
「え?」
「小鈴を振り向かせてみせる。また、俺のこと好きになってもらうから」
「わたし……! その前に謝罪を」
小鈴も久遠と同じ気持ちだ。こんな甘く蕩けてしまいそうな償いなら、いつでも受け入れたい。
だが、そもそも償いの前に謝罪が先だろう。まだ小鈴は久遠に十年前のことを謝っていない。
慌てて謝罪をしようとすると、急に肩を抱かれ、キスをされてしまう。
ゆっくりと唇が離れ、久遠は小鈴を熱い視線で見つめてくる。
「それ以上は言うな」
「で、でも」
謝罪をしないわけにはいかない。それでも、と口を開こうとしたのだが、久遠は首を横に振る。
「事情は小鈴に別れを告げられてから、すぐにわかったから。小鈴は最良な結論を出したのだと思う。あの時点で俺たちはどう足掻いても一緒にいることはできなかった」
「久遠、さん」
「わかっている。だけどな、小鈴。やっぱりお前のことをずっと忘れられなかった。だから……」
久遠は小鈴の顎を親指と人差し指で掴んで上を向かせる。ちょうど、久遠と視線が絡み合う角度になると、彼は切なそうな表情を浮かべてきた。