アオハルの続きは、大人のキスから
「お前に償いをさせるという名目で、俺にお前を口説かせてくれ」
「久遠さん」
「拒否はするなよ? 俺に悪いと思っているのなら、素直に受け入れろ」
「……そういうの、償いって言わないですよ?」
「償いだと言っておけば、お前は俺に許しを乞いたくて素直に受け入れるだろう? それが俺の狙いだ」
困ったようにほほ笑んだ久遠は、腰を上げようとする。その大きな広い背中に抱きつきたくなってしまう。
手を伸ばそうとした小鈴を振り向かず、久遠は「あと、一つお願いがある」と言い出す。
伸ばしていた手を慌てて引っ込めた小鈴に、背を向けたままで久遠はお願いをしてきた。
「今は返事をしないでくれ」
「え?」
久遠はテーブルの傍にあったファイルを取り、小鈴の目の前に並べていく。どうやら模擬結婚式のプランシートのようだ。
それらを並べながら、彼は淡々とした様子で言う。
「模擬結婚式は今からひと月後。プロポーズするから、そのときに気持ちを聞かせてくれればいい」
「ひと月後って。プロポーズ……」
「ああ」
久遠は資料を並べ終えると、ようやく小鈴を振り返った。