アオハルの続きは、大人のキスから
「俺はこのひと月に賭ける。小鈴が一生俺といたいと思うように口説くから」
「久遠さん」
「だから、それまでは小鈴は償いを受けてほしい」
強い意志と凜々しい瞳。久遠はいつもそうだ。
こうして彼のほしいがままの答えを言わせてくる。小鈴は小さく苦笑したあと、コクリと頷く。
「わかりました。その償い、させていただきます」
「ありがとう、小鈴。俺の好きにさせてくれて」
「い、いえ……」
久遠の蕩けてしまいそうなほど甘すぎるほほ笑みに、小鈴はドキドキしすぎて視線をそらす。そして、テーブルの上にある資料を見るふりをしてごまかした。
「これ、模擬結婚式のプランシートですか?」
「ああ、そうだ。今回は――」
話がそれたことにホッと安堵しつつ、小鈴は久遠の説明に耳を傾ける。
本当は今すぐ自分の気持ちを伝えてしまいたい。だけど、それを久遠は止めてきた。
このひと月で見極めてほしい。その努力は惜しまない。そんな彼の真摯な気持ちを受け、自分もきちんと彼のことを考えようと思って気持ちを口にすることは止めた。