アオハルの続きは、大人のキスから


 ツンと澄ましているのは、これ以上気持ちを乱されたくないからだ。
 もっと彼に近づいて、私だって好きですと言ってしまいたくなる。

 だけど、それを久遠に止められている以上、今の小鈴は言ってはいけないのだろう。

 再び両思いになれたのに、なんてもどかしい。そういう気持ちも込めて素っ気なくする小鈴に、久遠は慌てたように取り繕ってきた。だが――

「小鈴? 遅かったじゃないか。大丈夫だったか?」

「え? 俊作さん?」

 慌てた様子でモールから出てきた俊作は、小鈴の両肩に手を置いて顔を覗き込んできた。
 突然の登場に目を丸くしていると、彼の視線が小鈴の背後にいた久遠に向けられる。

「蘭じゃないか、久しいな」
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