アオハルの続きは、大人のキスから
段々と俊作の機嫌が悪くなっているような気がする。
あれこれ詮索されるよりは、初めから正直に話してしまえばいいと思った。
だが、まさか逆効果だったのだろうか。
俊作を取り巻く空気が冷たく重いものに感じた。だが、俊作にはしっかりと小鈴の気持ちを話しておきたい。
京都からやってきて右も左もわからないでいた小鈴を、優しくときには厳しく見守ってくれていた。それこそ、実の兄のように。
呉服屋山野井に就職してからは、上司として小鈴を鍛えてくれた俊作には、自分の気持ちをしっかりと伝えたい。
黙ったままの俊作に、小鈴は久遠への気持ちを打ち明けた。
「私、今でも久遠さんのことが好きなんです」
「っ!」
「だから、さっきみたいな嘘を言われてしまうと困ります」
「……」
「でも、どうしてあんな嘘を言ったんですか? 俊作さんらしくないし、そもそも嘘をつく必要なんてどこにも」
「小鈴」
捲し立てるように抗議したのだが、俊作の低く威圧的な声に驚いて口を閉ざす。