アオハルの続きは、大人のキスから
7
「……小鈴?」
「……」
「小鈴、どうした?」
「え?」
ハッと我に返ると、小鈴の顔を覗き込んでいる久遠と目が合う。だが、その距離があまりにも近くて、慌てて仰け反った。
目を白黒させる小鈴を見て笑った久遠だったが、すぐに心配そうな面持ちへと変わる。
「大丈夫か? 体調が優れないとか?」
「ううん、違います。ごめんなさい、ボーッとしていましたよね」
慌てて取り繕う小鈴を見て、久遠の顔は険しくなる。
尋問するような目で見つめられ、小鈴は笑ってごまかした。だが、それを疑い深く探ってくる久遠は、昔と変わらず小鈴に対して心配症だ。
そんな彼に小さく笑うと、ますます訝しげな表情に変わる。
小鈴はグラスに入ったミネラルウォーターに口をつけて、もう一度笑う。
今も尚心配そうな久遠を見て、小鈴はなんだかこそばゆく感じつつ、悩みの種は未だに消えないことに胸中で盛大にため息をついた。
先日俊作が言っていたことへの誤解も解け、こうして久遠とは穏やかな時間を過ごしている。
午後から半休を取った小鈴に合わせ、午後からベリーコンチネンタルホテルで模擬結婚式の打ち合わせをしていたのだ。
当日小鈴のメイクアップや着付けをしてくれる担当者と顔合わせをし、当日のメイクやヘアなどの打ち合わせをし終えたのは、午後二時。そのあと、久遠の運転で都内にあるホテルへとやってきた。
久遠は夜から用事があるらしく、夕方には戻らなければならない。