アオハルの続きは、大人のキスから


 ウェイターが三段トレーを持ってきた。秋を小さなトレーに凝縮しているようなお菓子の数々に目を輝かせる。

「食べるのがもったいないぐらい……かわいい」

「確かに。でも、食べないともったいないぞ?」

「わかっています!」

 むきになる小鈴を見て楽しそうにほほ笑む久遠は、ゆっくりと紅茶のカップを持ち上げた。だが、すぐにソーサーに戻してしまう。

「久遠さん?」

「ごめん。ちょっと、待っていて」

 どうしたのかと声をかける前に、彼は店の外に出て行くではないか。

 驚いて彼についていくと、そこには一人の女の子が泣いていた。その女の子と視線を合わせるためか。久遠は腰を落として女の子の顔を覗き込む。

「どうした? ママとはぐれてしまったのか?」

 コクコクと何度も頷きながらも、涙が止まらない女の子。年にして四歳ぐらい、幼稚園の年少ぐらいだろうか。

 先ほどまではシクシクと大人しめに泣いていたのだが、久遠が話しかけたことで警戒心を抱いたのだろう。わぁと大きな声で泣き始めてしまった。

 久遠は慌ててその女の子を抱き上げ、柔らかい笑みを浮かべる。


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