アオハルの続きは、大人のキスから
今日は久遠にかわいいと思ってもらいたくて、着慣れないスカートを穿いてみた。だけど、滑稽だったかもしれない。
あの綺麗な女性と比べたら、小鈴などどんなにオシャレをしてもかすんでしまう。
久遠に会える。そう思って浮かれていた小鈴。それがなんだか痛々しく思えてしまう。
ふと、顔に打ち付ける雨が弱まったことに気がつく。頭上を見ると、傘がさされていた。
「小鈴。雨に打たれてびしょ濡れじゃないか。風邪を引いてしまうだろう」
「俊作さん?」
どうしてこんなところに、と言いながら振り返る小鈴の頭をハンカチで拭いてくれる。
驚いて目を見開いて硬直していた小鈴だが、俊作に拭かれていることに気がついて慌てる。
「ありがとう、俊作さん。もう、大丈夫だから」
「大丈夫なものか。ああ、こんなに濡れて……。まずは、店に一度戻ろうか」
「えっと、俊作さんはどうしてここに?」
今日、俊作は一日仕事なはずだ。それなのに、どうしてこの時間にここにいるのだろう。
俊作は小鈴の濡れた肩を拭き終わると、小鈴の背中に手を当てて促してくる。