アオハルの続きは、大人のキスから
「そこのレジデンスに用があった。お得意様の三上さまに頼まれていた帯留めをお届けしたんだ」
なるほどと納得している小鈴に、今度は俊作が質問してくる。
「それで、小鈴はこんなところでなにをしている? 今日は半休で、午後からホテルで模擬結婚式の打ち合わせをすると言っていなかったか? こんな時間までしていたのか」
「あ……」
久遠とアフタヌーンティーをしに行っていたとは言いづらい。俊作には、久遠と会うのは止めておけと言われていたからだ。
小鈴の表情から読み取ったのだろう。俊作は深く息を吐き出す。
「小鈴、約束を忘れてしまったか? 蘭とは極力会わないようにしなさい」
「私、約束なんてしていません」
「約束しなさい。小鈴は、私の妻になるのだから」
「ですから……!」
俊作に抗議しようとしたのだが、彼はどこか一点を見つめていることに気がついた。
その視線の先を目で追う。そこには、唖然とした様子で久遠が立っていた。
資料を入れた茶封筒を手にしているところを見ると、その件で小鈴を追いかけてきたのかも知れない。
「蘭か。小鈴との打ち合わせは終わったのだろう? もう彼女に用はないはずだ」
そう言って小鈴の背中を押して無理矢理離れようとする俊作に、久遠は慌てた様子で彼の腕を掴んだ。
「待て、俊作。今の話は、どういうことだ?」
「どういうこととは?」
焦りと怒りを滲ませた久遠の声に対し、俊作はクールな様子で久遠を見つめる。