キス、涙々。
そのまま指導をはじめた二人の横で、わたしはハギくんを観察していた。
なんかまたピアス増えてる。
あけるとき痛そうなところまであいてる。
もうピアスを開けるっていう行為自体が癖になってそうだなと思った。
わたしが口をはさむまでもなく加賀屋くんが注意してくれてるけど、ハギくんは「はいはい」って受け流してばかり。
加賀屋くんのときでさえこれなんだ。
わたしが強く言っても絶対に聞いてくれないよね。
「うーん……どうしたものか」
「わはは、迷走するヤオの図」
「おまえはこっちに集中しろ」
すっかり日の昇った朝。
黒髪のすき間から光るシルバーのピアスたちは、どこか居心地悪そうにしていた。