キス、涙々。



文化祭の準備はわりと順調に進んでいる。


生徒会に比べるとマシでも、風紀委員の仕事もそれなりに多い。


当日の校内の巡回はもちろん、違反をしている人を見かけたら声をかけないといけなくて。



打ち合わせの委員会で話を聞いていて、まるで職質みたいだなと思った。

たぶんそう思ったのはわたしだけじゃない。



「まあ、違反のラインはいつもより下げてください。文化祭くらいは誰だってはっちゃけたいですしね。ぼくも弾けたいですし、今年の文化祭で彼女を作るつもりです」


と風紀委員長が冗談っぽく、おそらく半分は本気でおちゃらけてみせた。


聞いていた委員たちが笑って、わたしも思わず笑う。



よかった、いつもより緩く指導していいんだ。


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