キス、涙々。


「ありがとうハギくん」

「今度お礼してもらおうかな」

「考えとくね」



それにしても、とわたしはあることに感心した。


ハギくん、わたしの歩くペースに合わせてくれてる。



というよりハギくんは意外にも身長が高かった。

威圧的なオーラを感じないから身長があるようには一見思えないけど、おそらく170後半はあるんだと思う。



……だって。

わたしはちらりと窓ガラスに目をやった。


そこに映っているのはスタイルのいいハギくんと、ちんちくりんのなにがし。

そのなにがしとは、もちろんわたし。


視線をはずして見なかったことにする。

ついでに横に並ぶのが恥ずかしくなり、さりげなく一歩後ろに下がった。


そんなちょっとした動作にもハギくんはめざとく気づく。



「え、なに?腕疲れた?」

「や、そうじゃなくて、おこがましいというか」


月とすっぽんというか、もごもご……


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