キス、涙々。


「うっ……うん」


そんなわけないのに

……まるでプロポーズみたいに聞こえてしまった。


自分のどっどっと波打つ鼓動が伝わる前に、身体を離す。


でも、意識してしまったのはわたしだけ。

ハギくんは気づいてないみたいだった。



「そ、そういえば!ハギくんのクラスはなにするの?」

「えーなんだったかな」


むりやり話題をかえる。


ハギくんは思い出すように宙を仰いだ。



「……わかんないなあ」


もう一週間後なのに。


そういえば、いまもハギくんは帰るみたいだし……

今日はたまたまなのかもしれない。


それか、そこまで準備が忙しくない出し物とか?



「そういえば展示だったかも」

「展示?」

「いや適当言った。映画上映……うん、タイタニック流すって言ってた」


これは映画上映でもないな、とわたしの勘が告げる。


ハギくんのところがなにをするのかは、また今度確認しよう。


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