キス、涙々。


「そうやってすぐ泣いて。あたしらみんなね、わかってんのよ。あんたがそうやって気を惹こうとしてること」


そんなことしてない。


首を振るのが精一杯でなにも言えなかった。



「泣いてるわたし可哀想。みんな心配して~って思ってるんでしょ?“どうせ”」


長野さんの言葉に、後ろでずっとスマホをいじっていた女の子も顔をあげる。


中学のとき長野さんとよく一緒にいた子だ。



「どうせ高校でもその顔で男たぶらかしてんでしょ?言っとくけどそんな可愛くないからね、あんた」


その言葉に長野さんは堪えきれないといったように吹き出した。



「言うねぇ。で、話を戻すけど。あんたんとこもうすぐ文化祭でしょう」

「……はい」

「告白大会とかいうふざけた企画、あるよね?」


どくんと大きく心臓が鳴った。


< 119 / 253 >

この作品をシェア

pagetop