キス、涙々。
「あんたと再会できて本当によかった。また仲良くしようね」
差し出された手に、カタカタと震える自分の手をのばす。
「っ……いた…」
ぎゅっと引っぱられるように握られた手は、骨が軋むくらい痛かった。
ぞっとしたのは、思わず見上げた長野さんの瞳孔は開ききっていて、ふたたび“獲物”を見つけたことを心から喜んでいるようだったから。
「当日あんたに告白する男、去年あんたが告られたっていう先輩よりもずっとイケメンだから。断ったら……今度こそどうなるかわからないかもね?」
帰り際、わたしを振り返った長野さんは。
口パクで“それ”を言って、にっこりと笑った。
「女子ってえげつねー」
「そ?こんなもんじゃなかったけどね、中学んときは」
「俺は可愛いと思うけどなぁ。おどおどアユリちゃん」
「どうせ男はみんな、あーゆーぶってる女がいいんでしょ?あーヤダヤダ」