キス、涙々。
「ありがとう。でも、場所が書かれてないよ」
これじゃあどこに行けばいいかわからない。
それを聞かれることは想定していたのか、ウサギさんはジェスチャーをはじめた。
「あなたか、……ネコさんか、……クマさん? を探したらいいの? でもスタンプが6個……あ、ひとりにつき2回探せってことかな」
「察しがいいな」
「え?」
いまなにか聞こえたような気がする。
それはわたしの空耳だったのか、ウサギさんもかわいらしく首をかしげてそのまま去っていった。
他の人にもカードを配って回るんだろう。
「これくらいなら……いい、よね?」
校内を見回りながら、動物たちを探す。
それだけのことを咎める人は、おそらく……いない。
たぶん。
きょろきょろと辺りを確認して、カードをそっとバインダーにはさんだ。