キス、涙々。


目の奥がぐっと熱くなる。



「ありがとう……みんな、と、山田さん」

「あれ、あたしの名前知ってたんだ」

「何回か指導させてもらったことあるから……」

「んん〜、いつもありがとうでやんす!」


ふざけたような言い方に、場がどっと沸く。

わたしもつられて笑ってしまった。


それから少し言葉を交わしたあと、山田さんたちにもういちどお礼を言って別れた。




「おいしい」


……美晴ちゃんにも教えてあげたいな。


会いたかったし伝えたいこともあったけど、如何せんもう時間がない。


美味しい焼きトウモロコシを食べ終わる頃には、告白大会の開催が迫っていた。




「ぐーず子」


ふいに、うしろからかかった声。


身体が硬くなったような気がした。

それでも振りかえると、そこには長野さんたちがいて。



「そろそろ行っとこっか!」



負けたくない。

わかっていても、足の震えは止められない。


脳裏にハギくんの顔が浮かび上がる。





……会いたい。


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