キス、涙々。


「長らくお待たせしました!これより告白大会を開催いたします!」


ちいさな花火が打ち上げられるような音。

そしてステージの上に人が立って、告白大会のはじまりを告げた。



「えー司会進行は去年に引き続き────」


進行はかなりスムーズだった。


それもそのはず。

この告白大会は、いわば出来レースだから。


元々いい感じの男女が一歩を踏み出すきっかけとして、告白大会を使っている場合が最も多かった。


加賀屋くんやわたしのときみたいに、ぶっつけ本番で気持ちを伝えられることのほうが逆に少ないんだ。



それでも。

レールが敷かれていたとしても、盛り上がることには盛り上がる。


ヒートアップしていく会場に、長野さんたちも純粋に楽しんでいるようだった。



「……大丈夫、大丈夫…」

とにかくもう祈るしかない。


加賀屋くんも無事不参加にしてもらったんだろう。

佳境になってもその名前が呼ばれることはなかった。


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