キス、涙々。


ハギくんの名前も呼ばれない。

そういえば去年も呼ばれてなかったはず。


もしかして去年から、不参加にできることを知ってたとか?


ああ、絶対にそうだ。

じゃないと今ごろ引っ張りだこのはずだもん。


だって普通にかっこいいし、愛想もいいし、一応優しいところもある。

女の子たちが放っておくとは思えない。



……いつかハギくんも、好きな人を作ったりするのかな。

付き合ったりも、するのだろうか。


ハギくんに好きな人ができたら、わたしなんかに構うこともなくなる。


そう考えたらほっとするよりも、なんだか胸がもやもやした。

寂しい、って心の中の自分が言ってる。



「わたしってMなのかな」


となりで呟きをひろった長野さんがすぐに反応する。



「なに言ってんの。あんたは生粋のドMでしょ」


長野さんに言ったわけじゃなかったんだけどな。


それでも、やっぱりかとわたしは肩を落とした。


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