キス、涙々。


そのとき読者モデルの彼が同情するように言った。



「あいつらちょっと言い過ぎだよなあ」

「……え?」

「おれは全然気にしてないから。な?あんたの体型がどうこうってやつ」


だってさ、彼は続ける。



「俺は自分の目で見たものしか信じねーのよ。な?」


な?って言われても……

むしろ恥ずかしくなって、両手をばってんにしながら後ずさる。



「……ごめんなさい」

「は?」

「わたし、は……あなたとは付き合えません」


なんて、か。

なんで、か。

相手の口から出たのは、そんな言葉だったと思う。



「ご、ごめんなさい。あなたとは、お付き合いできません」

「だからなんでだよ!なんでお前みたいに虐められてるやつが……どうせいままで彼氏もできたことないんだろ!?」




そのとき、わたしは無意識のうちに呟いていた。





「……──、くん」


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