キス、涙々。
「人の学校で好き勝手やってんなよって感じ」
「わかるわかる。なんか白けたよね」
囁くような声や内容は、どんどん移り変わる。
まるで人の波にのって流れていくように。
「てか、さ。イキってんのはあたしらもだったしね」
「八尾さんのこと、ちゃんと見たことなかったかも」
「私はましろちゃんの指導、優しくて好きだよ」
「でも厳しい人には厳しくない?それって人選んでるってことじゃないの?」
ひそひそ……ざわざわ。
いろんなところでわたしの名前が聞こえてきた。
「それはあれでしょ、あんたが1回で言うこと聞かないから。だから八尾さんも厳しくしなきゃいけなくなんだよ。それに怒鳴ったり、上から目線で言われたことはないっしょ?」
「まあたしかに、そう……だね。うん、そうかも」
「なにそのキラキラした顔。きもっ、ウケる」
わいわい、みんながわたしのことを話してる。
その顔からはさっきまでの気まずさは抜け落ちていた。