キス、涙々。
「な、なによ……っ?」
「ごめんなさい」
「……は?」
わたしは頭をさげた。
さすがに予想もしてなかったのか、身構えていた彼女たちは拍子抜けしたようにぽかんとしていた。
まさか素直に謝るなんて、思ってもなかったんだろう。
でも……わたしはそのことに謝ってるんじゃなかった。
「ごめんなさい、もうわたしには関わらないで。謝罪もいらないし、好きにならなくてもいいから」
「……生意気になりやがって」
それはわたしが聞いた、長野さんの最後の言葉だった。
もうわたしに興味をなくしたのか、これ以上は面倒だと判断したのか。
長野さんに向けられたのは、壊れたおもちゃを見るような目つきだった。
「変わったね、あんたも」
「……ありがとう」
皮肉だとはわかってたけど、あえて褒め言葉として受け取った。
長野さんは心底面白くなさそうにしたあと、仲間たちと帰っていった。