キス、涙々。


正門の向こうに姿が消えた瞬間、かくっと膝が抜けたようになって。

美晴ちゃんがあっと声をあげた。



「っ!まし──」

「ヤオ」


地面に崩れ落ちる前に、ハギくんがわたしをすくい上げてくれた。

腰に回された腕をハギくんのほうに寄せられる。



「腰、抜けたっぽいね」

「あ、ありがとう……力が入らないみたい」


自分の力で立とうとしても、腰のあたりがふにゃふにゃしてる。

まるで自分の身体じゃないみたい。



「時間が経てば治る。それまでそいつに支えてもらえ」

「加賀屋くん」


加賀屋くんのほうを見て────その横にいる美晴ちゃんに視線が吸い寄せられる。

美晴ちゃんはいまにも泣きそうな顔をしていた。



「ましろ、あたし……ごめ」

「美晴ちゃん」


反射的に動こうとして、腰に力が入ることに気付いた。

はやい、もう治ったんだ。


わかるや否や、わたしは美晴ちゃんに抱きついた。


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