キス、涙々。
「ネコはうちのバカが入ってたはずだ」
「さあー俺はどれに入っただろうね?」
「お前のそういうとこムカつく」
「どうもありがとう!」
べつにはぐらかす必要はなかったが、打ち明ける必要もない。
加賀屋の言うバカに聞けばすぐにわかるだろう。
「つーかよく我慢できたな」
「んー?」
「お前だよ。あれだけ八尾が攻撃されて、よく手出さずにいられたなって言ってんの」
「だって約束したじゃん」
「まあしたけど。正直、素直に守るとは思わなかった」
「あはは、俺への信頼」
文化祭の前に約束していたことがある。
“なにがあっても手だけは出さない”
今回の計画を遂行するにあたって、それだけは守れと加賀屋に約束させられていた。
『加賀屋は優しいね。加賀屋のくせに』
『うちで暴力事件を起こされたら面倒なんだよ』