キス、涙々。


「……ありがとう」


わたしのために怒ってくれて、ありがとう。

泣くのが悪いことじゃないって言ってくれて、ありがとう。


……助けにきてくれて、ありがとう。




「ステージに来てくれたときのハギくん、すごくかっこよかったよ」

「王子さまのカッコしてたからね」

「それもだけど、ハギくんがかっこよかったんだよ」


「そんな連発されたらさすがに、俺も照れる」

「ぜんぜん照れてるように見えないけど」



というかハギくんが照れてるところなんて見たことない、と思う。


一度はハギくんの照れ顔もみてみたいなと思いながら、慣れない手を動かす。

不器用に巻かれていく包帯をハギくんはじっと見つめていた。



「俺さあ」

「うん?」

「途中着ぐるみのなかはいってたんだよね」

「え、どの子?わかんなかった」


「どれだと思う?」


「うーん……ネコ。1回目の、ネコさん」


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