キス、涙々。
わたしがそう答えると、ハギくんは一瞬だけ目を見張った。
「よくわかったね。なんで?」
「なんとなく。それに、すごいハグしてくると思った」
「それはほら、着ぐるみってそういうもんじゃん?」
「そう、かな?そうかも……」
「わあ、洗脳されやすい子だ」
わたしはふとふしぎに思って首をかしげた。
そういえばあのとき、なにか言ってたよね。
『だい……、しろ……だよ』
って。
あれは結局、ハギくんが言ったってことなんだ。
でもわたしがいくら聞いても、ハギくんはなんて言ったか教えてはくれなかった。
「大丈夫、ましろ、大丈夫だよ。って言ってくれてなかった?」
「違う違う。そんなの言ってない」
「えーじゃあなんだろう……」