キス、涙々。
本格的に考えこむわたしにハギくんはからからと笑った。
「そのうちわかると思うから」
「そのうちわかるの?」
「うーん、やっぱわかんないかも」
「やっぱわかんないの?どっち?」
なぜか知りたくて胸のあたりがうずうずする。
求めるようにハギくんを見つめるけど、意味深にほほ笑まれるだけだった。
「うん、……わかんなくていいよ」
どきりとした。
その言葉に、というよりその笑みに。
ハギくんはたまに大人みたいに笑う。わたしと同じ17歳なのに、まるで一回りも二回りも生きているような、そんな感じ。
「なんで……?」
自分の口から出た言葉は笑ってしまうくらい情けなく聞こえた。
ハギくんはすっと目を閉じる。
「ヤオにとって、どうでもいいことだから」
どことなくもの悲しそうなその表情が。
胸の奥に、深く、ふかく落ちていった。