キス、涙々。
「え?あ、萩だったんだ。悩んでる人って」
わたしはひかえめにうなずく。
「なにで悩んでんの?クソ鈍感なお姫さまについて?」
「クソ鈍感なお姫さま……?や、具体的な悩み事はわたしにもわからないんだけど」
進路関係かもしれない、ということは伏せておいた。
もしかしたら違う悩みかもしれないし、進路のことで合っていたとしても、勝手に言いふらすのもちがう。
「で、ね?とにかく元気を出してもらいたいんだけど、どうしたらいいかわかんないの」
「そんなのましろがハグしてちゅーしてあげたらいいんじゃない?」
「ハグしてちゅー!?わたしが、ハギくんに!?なんで!?」
ていうかそんなことしたらハギくんもっと落ち込んじゃうよ!
想像することさえおこがましく。
青くなっているわたしに美晴ちゃんはけろりとしながら言った。
「だって好きじゃない」