キス、涙々。


「すっ、……ああ~」


なるほど、そういうことか。


たしかにそんなことをすれば、わたしは恥ずかしさで泣いてしまう。

どんな相手でも、どんな状況でも、確実に。



「わたしの泣き顔が好きなハギくんはたしかに喜びそうだね」



「ははは。難攻不落すぎる。どんまい萩さくらぁ!」

「えっ?」

「んーん、なんでもない。でもま、たしかに喜ぶと思うよ?ためしに1回やってみたらー?」

「そんなおためし感覚でできることじゃないんだよね……」



なんたってキスはクーリングオフできないのだ。


……でも。ハグ、くらいなら。



いやいや、そんなことそうそうできるものじゃない……よね?






そして放課後、そうそうできてしまうことになる。


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