キス、涙々。
ハギ、無々。
それからなんとなく、ハギくんはわたしを避けるようになっていた。
ふつうに学校生活を送っていてすれ違うことはまずない。
だから朝の指導で話せたらいいなって思ってたんだけど、ハギくんは時間になってもわたしのところに来なかった。
いつもは別の委員のところに並んでいるのを見かけるけど、今日は見なかったような気がする。
「今日は俺のとこにも来てないよ」
他の人たちに訊いても、誰も指導してないという。
そんな日が数日、続いた。
わたしは我慢できなくなってお昼やすみ、ハギくんのクラスに行った。
そこで宮城くんに教えてもらったのは、ハギくんはしばらく学校を休んでいるということ。
「え……風邪、なの?」
「ごめん。俺にはなにもわからない」
宮城くんの横にはもうひとり、ハギくんの友だちだという男の子もいた。
けれどその子も宮城くんも、首を横に振るばかり。
なにも知らされていないという。