キス、涙々。
ハギ、無々。



それからなんとなく、ハギくんはわたしを避けるようになっていた。


ふつうに学校生活を送っていてすれ違うことはまずない。


だから朝の指導で話せたらいいなって思ってたんだけど、ハギくんは時間になってもわたしのところに来なかった。


いつもは別の委員のところに並んでいるのを見かけるけど、今日は見なかったような気がする。



「今日は俺のとこにも来てないよ」


他の人たちに訊いても、誰も指導してないという。


そんな日が数日、続いた。



わたしは我慢できなくなってお昼やすみ、ハギくんのクラスに行った。


そこで宮城くんに教えてもらったのは、ハギくんはしばらく学校を休んでいるということ。



「え……風邪、なの?」

「ごめん。俺にはなにもわからない」


宮城くんの横にはもうひとり、ハギくんの友だちだという男の子もいた。

けれどその子も宮城くんも、首を横に振るばかり。


なにも知らされていないという。


< 201 / 253 >

この作品をシェア

pagetop