キス、涙々。
重ねた手につよい心音が伝わってくる。
どくどくと速くなっていくそれは、たぶんハギくんのもの。
わたしの言葉をどう解釈したらいいか、迷っているのかもしれない。
どこまでがんばってきたんだろう。
どこまで自分を殺してきたんだろう。
幼い頃にお父さんが亡くなって。
お母さんはハギくんのことをお父さんに重ねていて。
どんな気持ちで、ハギくんはいままで生きてきたんだろう。
計り知れなかった。
その計り知れなさが、悲しくて、悔しかった。
「受け入れてあげて。
自分を捨てないで……さくらくん」