キス、涙々。


頭の上にヤオの手がのせられた。


あたたかい、小さな手のひらだった。


いつも笑っている俺がこうして泣いて。

いつも泣いているヤオがこうして笑っている。


ヤオに関してはほぼ泣き笑いのようなものだったけど、必死に我慢している様子がひしひしと伝わってきた。




「……もう頑張らなくていいんだよ。充分だから。ハギくんはもう充分……苦しんで、傷ついて、頑張ってきたんだから。いまは自分のことだけを考えてあげて」


ゆっくりと動かされる手は、すこしぎこちなかった。

そうすることが慣れていないかのように、ヤオの手は俺の頭を柔くなでる。



「そうだ。わたし、なにか温かいもの────」





「いかないで」


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