キス、涙々。


それは、



「ピアス。来年から付けていいようにしてくれるって」

「え!!うっそーーーー!!やったぁーー!!」


飛び跳ね、手を取り合って喜ぶ女の子たち。

その姿がなんだかかわいらしくて、わたしは苦笑する。



「来年から、ですよ。だからこれは違反です」

「えー見逃してよぉ!もうあとちょっとじゃん!」

「だめです」

「ましろっち、うちのおかあみたい……」



その言葉にどっと辺りが沸いた。

わたしもみんなにつられて笑う。


こんなふうに笑えるのも、自分を出せるのも。

ぜんぶあの人のおかげだった。



……ハギくん。

ハギくんはいま、なにをしているんだろう。


自分の気持ちに気づいたいま、ハギくんの顔を見たいような、見たくないような。


……やっぱり、見たい。

いますぐハギくんに会いたい。


でもいま、ハギくんは頑張っているんだと思う。



あれだけ休んでねって言ったのになぁ。


くす、と笑いながら空を見あげる。



晴れ渡った青空はどこまでも続いていた。


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