キス、涙々。
しばらくして落ち着いたわたしに、ハギくんのお母さん──奏絵さんがお茶を入れてくれた。
「す、すみません。人様の家でみっともなく泣いちゃって……」
「いいのよ。あの人も、あなたに会えてよかったはずだから」
奏絵さんは申し訳なさそうに目を伏せながら続けた。
「そして、私も……あの子も」
ハギくんと奏絵さんはたくさん話し合ったのだと、教えてくれた。
お互いに思っていたことをぶつけあって、言いたかったことをすべて話して。
「さくら。戸棚にある大福、取ってきて」
「俺あれもう飽きたんだけど、母さん」
「あら、ましろさんは飽きてないわよね」