キス、涙々。
キス、涙々。




「なんで、また風紀委員……?」

「そりゃ当然だろ。言い出しっぺが抜けてどうする」

「あうぅ……眠いよぉ」

「気張れ、そして踏ん張れ」


ぺしぺしとバインダーで頭を叩かれる。

となりに立っている加賀屋くんはちっとも眠そうじゃない。


しぱしぱする目を擦りながら、あくびを我慢する。


こんな生活があと1年……

そう思い続けて、はや3年。


うららかな4月の早朝、わたしは今日も校門まえに突っ立っている。



「うげ。今日って服装指導の日だっけ」


けだるそうな声が聞こえてきた。

朝は誰だって眠いし、しんどいよね……と心の中で同感しながら頷いた。

わたしだってできることならやりたくないけど、やらなきゃ終わらないんだ。


がんばれましろ。今週はあと4日!……もある。



「こちらにもどうぞー!スムーズな指導にご協力お願いします!」


男子委員のほうがつまりはじめたから、手をあげてそう促したけど。

わたしの顔をみた人はみんな顔をしかめた。


お前がいちばんスムーズじゃないんだよな、って顔。


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