キス、涙々。
なってしまった、と言ったほうが正しいのかもしれないけど。
多数決で決まってしまったからにはしょうがない。
職務を全うするまでだ。
「ハギくん。最近は朝でも元気だね」
「そ?自分ではよくわかんないなあ」
たぶん、わたし以外が見てもわかるよ。
前まであんなに眠そうにしていたハギくんはもうどこにもいない。
きっともう大丈夫だ。
ハギくんはもう、大丈夫。
ハギくんの腕のなかにすっぽり収まったまま、わたしは記録用紙を見つめる。
「ええと、まずは……っひゃ!?」
これくらいはいつものことだから、と高を括っていたのがいけなかったのかもしれない。
あろうことかハギくんの手が、上から制服の下をくぐり抜け、鎖骨辺りにかけて侵入してきた。