キス、涙々。
窓の外から差しこんだ光に反射して、ハギくんのつけているピアスがきらりと光った。
「あ、ハギくん。ピアス減らした?数、ぜんぜん少なくなってる」
「ああ、これね。この前やっと気づいてくれたんだよ」
「誰に?」
「母さん。最後の抵抗……いや、希望だったようなものかな」
ハギくんは昔を思い返すようにふっと笑った。
大人びた笑み、が、ふいにわたしに向けられる。
「まあもうひとりは最後まで気づかなかったけどねー」
「え、え?わたし?気づかなかったって、どういう……」
「ほんとにわかんねーんだ」
ハギくんは自分の髪をぐしゃぐしゃってした。
一瞬、呆れて怒ったのかと思ってひやりとする。
すこし長めの前髪から覗く、いつもとは違った鋭さを帯びた瞳。
「……これでも気づかない?」