キス、涙々。
「というかヤオ、なんの用?」
「ネクタイ!わたしのポケットに入れてたでしょ?返しにきたの」
まさか忘れてた?
わたしだって検査のとき以外やいやい言いたくない。
「はい、これ。ちゃんと返したからね」
だから今回は大目に見るとして、ネクタイを返却。
「あー……うん、どーも」
ハギくんも、なんだか煮え切らないような顔ではあったけど受け取ろうとした
──────ときだった。
「おーっ八尾ましろきてんじゃん!おわっホンモノだ!やべぇ」
ハギくんの後ろから、どんっとのしかかるように現れた男子生徒。
ぎょっとするわたし、下敷きになるハギくん。
目をきらきらさせる、その男子。