キス、涙々。
うっすらとよみがえってくる記憶。
あれはたしか……1年生の頃だった……
ちょうどこんな感じの、不良の男の子の指導をよくしていたような……
「って、あー!!あのときの!!不良の!?」
よく見たら面影があるし、ピアスの数も前までのハギくんと同じくらい多かった。
ようやく思い出したわたしにハギくんは呆れながら前髪をかきあげた。
「すこーし見た目変えたらぜんっぜん気づかないしさぁ、びっくりしたよね」
「いや、あのときはわたしも慣れない仕事でいっぱいだったから……!それにそのイメチェンは全然すこしじゃない……!」
「ほんとに気づかれないから、嫌われてるのかと思った」
と言ったあとにハギくんは付け足した。
「俺は一目惚れだったのにね」
ハギくんを見つめると、次第にその視界がぼやけてくる。