キス、涙々。
風紀委員だって人間なんだ。
つよく言われたらつらいし、睨まれたらこわい。
そしてわたしには問題がふたつほどあって。
風紀委員の中ではいちばんの嫌われよう。
とくに女子生徒からの反感が酷かった。
物理的な嫌がらせはまだ受けていないけれど、もしかしたら裏でいろいろと画策されているのかもしれない。
「……あ」
「は?」
そのときちょうど検査をしていた女の子の瞳に、直感的に違和感をおぼえた。
嫌がられない程度にそっと瞳を覗き込んだけど、めちゃくちゃ嫌そうに目を細められる。
でも、うん、これではっきりした。
「えっと、カラコンつけてる……よね。ごめんね、禁止だから外してくれると助かるな」
「今ここで?」
「え?う、うん。規則だから……」
おそらく1年生の女の子。
差別だと思われても仕方ないけど、派手な見た目の人を指導するのはとくに苦手だった。
いまだってできることなら見て見ぬふりをしたい。
たとえ年下でも、気の強い子は上下関係なんて関係なくめちゃくちゃに強いから。