キス、涙々。
「は?いや加賀屋。あたしはいつもマジだけど?書類仕事ぜんぶ回してやろうか」
「やめろよガキじゃあるめーし」
加賀屋 春馬くん。
絶賛、美晴ちゃんと言いあってるけど、加賀屋くんが副会長であることには変わりない。
わたしたちとおなじ理系コースの2年生で、理系の首席はなにを隠そう彼だった。
『あーもう!また負けた!』
定期試験があるたびに美晴ちゃんが発狂してるけど、いつも2位をキープしている美晴ちゃんもじゅうぶんにすごいと思う。
加賀屋くんも首席であることに鼻にかけたりしない。
なのに、
「この堅物男め。こんな男がモテるなんて世も末だわ」
「おまえが生徒会長やってる世がすでに末だよ」
なんでこんなに仲悪いんだろう。
犬猿の仲という言葉をあたまに思い浮かべる。
それでも、いまにも掴み合いに発展しそうなふたりを止めることはできなかった。
さんざん語っといて、わたしは加賀美くんがすこし苦手だった……から。