キス、涙々。
「一応、確認させてもらってもいいですか?」
「は?なに、あたしのこと疑ってんの」
「そういうわけじゃ」
「八尾さんにはわかんないだろうけど、コテってものすっごく熱いの。痛くて剥がせるわけないじゃん。女の子の朝は大変なわけ。わかんないでしょ?どーせ」
彼女の言葉はわたしの痛いところをかなり正確に突いてくる。
グサッ、グサッ。
胸に容赦なく刺さったナイフ。
そんなことを言われてしまえば、もう何も返すこともできない。
泣きそうな気持ちになりながらもぐっと堪える。
「ねえもういっていい?ほら、後ろもつかえてるし」
「だ……」
だめです、も。
その絆創膏をとって見せてください、も。
両方言えずに黙り込んでしまう。
そのまま、うなずこうとしたときだった。
「いや、まだ行くなよ」