キス、涙々。


「おはよ。ヤオ」

「う、ぐぅ……お、おはよう、」



なにを言ってもムダな気がして、いっつもわたしのほうが諦めてしまう。


同級生のハギくんはいつも遅刻ぎりぎり。

マイペースな性格からか、ほかに理由があるからなのか。

正直それはどっちでもいいんだけど、わたしはこのハギくんに手を焼いていた。




「今日もいい塩梅にやつれてんね」

「ハギくんのせいでもっとやつれそう」

「ふーん。じゃ、よろしく」



精一杯のけんか腰もハギくんにとっては痛くもかゆくもないらしい。

だって自己中心的な彼は、わたしの言葉なんて聞いてくれもしないから。




「山川くん。ハギくんの指導たのんでもいいかな」

「え。あ、うん。俺はいいけど……」



男子委員、山川くんはちらりとハギくんのほうを気にした。



わかる。

言わんとしていることはわかるけど、わたしだって今日こそはって気持ちでいるの。


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