キス、涙々。
ネコ、吸々。





くしゅん、とくしゃみが出る。


向かい合ってパンを頬張っていた美晴ちゃんが心配そうに、大丈夫?と声をかけてくれた。




「今朝寒かったもんね。ましろ、風邪引きかかってるんじゃない?」

「うーん、そうかなぁ」

「絶対そうだって。今日は寄り道せずに帰りなよ……あ、カイロあった。ほら、これあげるから使いなって」



カバンの中をかき回していた美晴ちゃんが取り出したカイロ。

ありがたくもらったけど、いざ持ってみると中身がカチカチに固まっている。


聞くと、おそらく去年の冬から奥底で眠っていたやつだという。

捨てたらいいのに。


なんて思いながらも、指で塊になった鉄粉をもみほぐす。



まだ望みはあるかもしれない。

あったらそれは、まぎれもなく奇跡だけど。


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