キス、涙々。
「そういえば、ずいぶんと修羅場だったじゃない?」
「え、なにが?」
「朝だよ、朝。萩と加賀屋と八尾ましろ」
「なんか語呂いいね。タイトルみたい」
というか美晴ちゃん、どこかで見てたの?
だったら助けてほしかった。
「よく見えなかったけどさ、萩が怒ってたのはわかったよあたし」
「ああ、うん。怒ってた。ハギくんが怒ってるところなんて初めて見た」
うーんと首をひねっていた美晴ちゃんが、思いついたようにはっと顔をあげる。
「もしかしてあれじゃん?ましろが加賀屋に泣かされてるの見て、怒ったんだよ絶対」
「……あるかも」
「でしょ?」
「ハギくんはもしかしたら嫉妬したのかも」
「でっしょぉ!?やー青春ですなあ!」
そうだよ、あのときの怒りが嫉妬なんだとしたら、そのあとの行動にも納得がいく。