キス、涙々。
「カイロで思い出したんだけど、加賀屋くんって手あったかいんだね」
「ああ、心が冷めてるからじゃないの。あたしはどう?」
「それ迷信だと思う……って、ひゃ、つめたいよ美晴ちゃん~」
きゃっきゃっ、とこうしてじゃれ合っているときがいちばん楽しい。
誰かとお昼ご飯を食べることも、ちょっとしたことで笑い合えることも。
他の人からすれば当たり前のようなことでも、わたしにとっては奇跡に近いんだ。
去年に役目を終えたカイロがふたたび復活するのと同じくらいに。
どんなことがあっても、美晴ちゃんとはずっと一緒にいたいし、離れたくない。
それでもこの笑顔をひとりじめしたい、とは思わなかった。
わたしとハギくんとじゃ考え方が根本的に違うのかもしれない。
そう思ったのだった。